スパイスラボ神部です。
序章、前編 に続きようやく本題です。
※長かったので、後編は中編と後編に分割しました。
アイディアが Web のサービスとしてアジャイルにサービス化するようになってきた現状、それをはてなブックマークのホットエントリなどだけの局所的なブームで終わらせずに、収益への転化や社会に対するインパクトにつながるようにするにはどうしたらいいのか?それについて、私の考えるところを書いてみたく思います。
ロングテールであるべきプロセスが、ヘッドだけで終わっているのは何故
はてなでホットエントリになって、あとは廃れていく、そんな状況の問題点としてとらえると、あるおなじみの概念が思い浮かびます。見出しでネタバレしていますが、いわば今のはてなホットエントリは パレートの法則 でいうヘッドの部分しか無い状態なのではないでしょうか?
はてなブックマークのロングテールを十分活用するためには、商品販売にたとえるなら豊富な在庫の最適な配置にあたる作業・・・すなわちあまり注目されなかったブックマークエントリを整理し、それらがホットエントリを目当てにやってきた利用者にも上手に再発見され、再注目されるような仕組みを備えていてしかるべきです。
でなければ、現在のように人々はホットエントリにだけ並べられたものに群がったり、増えていく新着での注目エントリーを眺めるばかりで、現在2900万件あるというブックマークが死蔵されている店内に入って商品にあたる登録エントリを選んでくれたりはしないのです(現在それを行っているのは外部サイトの はてなブックマーク - じわじわ来てるエントリー くらい)。新しいものにしか価値がない、それが Web の価値観なのでしょうか?
件のはてなブックマークは、11月25日に新バージョンを正式リリースすると予定していますので、偶然このあたりの改善がもたらされたらラッキーではあります。しかし、CNET によるインタビューの このへん とか このへん を見ている限りでは、「(自分の価値観からは予想外のサイトに出会える)お気に入り機能を真ん中に据えた見せ方」、「コメントをどうやってモデレーションするか」、「以前に(自分が)登録した記事をちゃんと探せるようにパフォーンマンスを上げる」といったあたりなので、そういった全体を俯瞰で眺めたうえでの在庫の活用といった側面にはとりあえず今回はあまり期待出来ないものと考えます。
今後も基本的にはあたらしい情報をキャッチするための「メディア」であって、過去のアーカイブを最適化して Web のソムリエとして活躍してくれるようにマーチャンダイズを行ってくれるような気配は、残念ながら感じられません。はてなブックマークは日本国内のウェブサイトリソースに対してそれが出来る数少ない存在だと思うのですが・・・。
※余談ですが、はてなブックマークの基本部分も実はこんなところがスタートだったようです。
はてなブックマークは3年ぐらい前に、しかも3日ぐらいで作ったもの
なにが大きなメディアに成長するかはわからないものですね。自己分析によるとはてなブックマークは「運とコミュニティ」が味方してくれたことがプラスとなって、今現在ウェブに大きな影響を及ぼす存在になっている、そのことは頭の場所に覚えておきたい分析ですね。
まだ Web サービスのローカルネットワークが必要なのではないか?
はてなブックマークの情報提供構造の変化に期待が持てないとすれば、また別にそれらが相互に連携しあうためのネットワークを自らつくり、それをはてなブックマークのような従来型ヘッドアップメディアの周辺にぶら下げるということが大事になってくるのではないでしょうか。
しかし逆説的ですが、実はその仕組みは現状のはてなブックマークに既に実装されています。それはあの、リリース当時に非常に評判が悪かったはてブの関連エントリー。私も最近ここの価値に最近気づいたのですが、自分が新しいサイトをリリースした直後に、ブックマークが増えていく過程でここをよーくみておくと、類似サービスや参考になる知らなかったサービスがごろごろと出てきます(よみがな検索のブックマークページの関連エントリーリストがまさにその実例でした。漢字の読みがな・読み方検索【Yomigana】 に関しては寡聞にしてまったく存じませんでしたし。
しかし、見ての通り相当控えめな表示です。今回私が命題としている「Web のサービスが継続的にユーザを回遊的に集め、ネット内だけでなく実社会にもインパクトをもたらすようなインフラ」として活用するには、あまりにも控えめ。ですので、その点に注力した、Web サービスを起点としたローカルネットワークの構築が必要なのではないか、それが私の意見です。
ひとつひとつのサービスは小さくても、集まればなにかが出来ないか?懐かしの「ドラゴンボール」でいえば元気玉みたいなことが、Web サービスというアングルで相互ネットワークでつながることで実現できないでしょうか?さらにそれがちゃんと調節もできて、連発できるようなものが。
仮にここでは、そんな良い資源の発見や再発見が可能なネットワークのことを「ガラパゴスネットワーク」と呼ぶことにします。この「ガラパゴス」とはガラパゴス化が進む日本のウェブ という記事であげつらわれた、日本の「いびつ」な Web 文化、そして「引きこもり」の現象をあげつらった言葉ですが、私はガラパゴス化により、むしろ独自性のあるニッチな情報メディアを作り上げられるのではないかと考えています。
サービスはどんどん生まれていいし、車輪の再発明もあり。だけど情報の行き渡るビオトープが必要
ここで少し俯瞰で状況を捉えてみましょう。次々と生まれてくるサービスには、新規性のないものや、私がいくつか作ったようなクローンサイトすらあるでしょう。でも私はそれは問題だとは思いません。サービスは人なり法人なり人格を持つ何者かが提供しているわけなので、その個人や法人が倒れたとき、即座に代替となれるオルタナティブな存在は逆に貴重になると思っています。
しかしそれらがどこにあるか、どんな状態で、どうやったら利用出来るかという情報を行き渡らせることが、非常に難しいのが現状です。あ、電車で乗り換え案内をしたいな、と思ったとき、未だに私たちはそれらをあらかじめブックマークしておくか、テキスト全文検索のようなサーチエンジンで検索をしてから到達しなくてはなりません。以前使っていたサービスは閉鎖していなくても、目的からサービスを探すことが出来るサーチエンジンの存在が全く欠けているからです。ついでにいうと、それを誰が作ったか、なにがあれば存続可能か、そういうことについてのデータベースですら持っていないのです。これは既に後継者のいない伝統芸能のような状況的危機です。
ぶっちゃけホットエントリからのブログ記事のフィルタリング除外措置でも構いません。現在のはてなブックマークからブログエントリ(あるいは静的な HTML)を片方に、Web サービスをもう片方により分けたものがあれば、今すぐそういった「Web サービスサーチエンジン」として使うことが出来るような気もします。しかし、はてなはポリシー的にも余力的にもそれをしてくれるとは思いがたいです(ブログエントリーだって貴重な資源であることはたしかですから)。
ですから、ここはその「ガラパゴスネットワーク」自ら立ち上げるということを考えてみても良い気がするのです。
ガラパゴスネットワークの要件とは
ここまでのまとめでもありますが、私の主張するガラパゴスネットワークの要件についてまとめてみましょう。
1.Web サービス・Web アプリケーションを最小単位としてネットワークが構成される
2.あるサービスを利用した人は、それと類似のサービスを協調フィルタリングなどの技術を使って容易に発見することが出来る
3.ネットに詳しいひとだけでなく、目的をもった個人が利用したいサービスに即座にたどり着けるような検索・誘導のしくみを備えている。もちろん、時系列に必要以上にとらわれない。
4.ここのWeb サービス・Web アプリケーションはこのネットワークに参加することにより、本来そのサービスが想定する顧客を確保することができたり、逆にそのスケールをオーバーする事態は遠ざけることも出来る
5.ネットワークは全自動的に構成されるわけではなく、大半が自動化された、しかし人間の判断も含めた状態で管理され、システム全体の維持につとめる。この維持の段階で、法人が提供するような大口の登録サービスからはネットワーク参加料を徴収するようにしてもいいかもしれない。
6.国内の Web サービスや Web アプリケーションがすべてこのネットワークに参加する必要はないし、基本的にはサービス提供者が意志を持って参加し、意志を持って脱退できるようにしておくべき
もうちょっと話をすすめていくのなら、ここにサービス利用目的別のアドネットワークみたいなものと重ねてみても面白いかもしれません。そうすると広告媒体化することもでき、システム維持のための健全性をより保ち易くなります。
今回私はあえて、はてなブックマークを参考に、国内の Web サービスをコアに据えたニッチでパラレルなネットワーク構成を提案しています。しかしこのような仕組みと自分の Web サービスが寄り添うことによって、一度つくったら作りっぱなしになり消えていくような Web サービスがひとつでも減り、自分のひらめきを丹精込めて形にした Web アプリケーションがファンを獲得していくのならば、それは開発として最上の喜びのひとつになるのではないでしょうか?
ユーザの目的は購買行動からレクリエーションまで様々です。しかし、今の検索エンジンがそれに対して全能であるかどうかといえば、まだまだ十分とは言えません。ただちょっと暇をつぶしたい、そんなひとが目的にたどり着くための道筋すら、今の Web アプリケーションに連なるサーチエンジンのインデックスには記されていないのです。そんな状態は、あまりにももったいないと思いませんか?
当面年内は、このしくみについて、その可能性と実現度について、考えたりディスカッションしたり、あるいはほかの皆さんと意見を交換するなどして、実際に行動に移し初めてみようと思います。
(後編に続く)
今回のエントリ集のインデックス
今こそ Web サービス公開を起点としたビジネスモデルを考えるべきでは?(序章) (ラボブログ)
今こそ Web サービス公開を起点としたビジネスモデルを考えるべきでは?(前編) (ラボブログ)
今こそ Web サービス公開を起点としたビジネスモデルを考えるべきでは?(中編) (ラボブログ)
今こそ Web サービス公開を起点としたビジネスモデルを考えるべきでは?(後編) (ラボブログ)
コメント ( 1 )
近い業界、というか同業と言いますか、
元社員といいますか、のアイカワです。
取り上げられていてびっくりしました。
皆様によろしくお伝えくださいませー。
投稿者: アイカワ | 2008年10月06日 01:35
日時: 2008年10月06日 01:35