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ラボ神部です。
今日転職の際にお世話になった方とランチする機会があり、近況について情報交換したり、Web の今の状況について情報交換などさせていただきました。いざネタ出しをしてみると、今後についていろいろと不明確なところが多いなぁと思うところがありましたので、ラボブログの方にまとめてみたいと思います。
Web のこれからの役割は?
Web は携帯電話のように、「一部の人が必要とするもの」から徐々に「あって当たり前のもの」になりましたが、あくまで現実の情報を整理し検索するために使われることが多く、すべての人間活動の決定に関わっているわけではありません。例えば国内に目を向ければ政治活動にはまだまだ十分に Web が活用されているとは言い難いですし、高額な商品の購入やビジネス上の契約の時には対面や書類のやりとりで行われることが多いでしょう。Web は生活をする上で大きな手助けにはなっていますが、究極的に無くてはならないものではありません。無ければ無いで、不便ながらも経済活動や社会生活を営んでいくことは可能です。しかし、その便利さによって助けられる度合いが、今後徐々に高まって行くのではないでしょうか。
開かれたインターネットから囲い込みの世界に?
例えばウェブ上のサービスを考えたとき、最初はサービスごとに違うプラットフォームを用意され、その上で特定のサービスが行われ、その入出力や基盤技術はサービス提供者が利用したいものを利用していました。ユーザから見れば、提供者の指定したものを使う以外に選択肢はありませんでした。
続いて Web API や Feed によって Web の背景にあるデータにアクセスがしやすくなり、マッシュアップによって新しいサービスをこれまでより簡単に構築することが出来ました。ユーザ側も、Feed を好きなリーダで読んだり、Web ブラウザの拡張機能を通じて Web の API を利用することも出来るようになってきました。
そしてここに来て、Google App エンジン や Amazon Web サービス といったアプリケーションプラットフォームが続々とリリースされ、プラットフォームは共通のものを使いつつ、その上に多用なアプリケーションを構築するという可能性が見えてきました。
このような未来はサービスの開発コストや維持コストを下げると同時に、Google や Amazon のような巨大企業の提供するアプリケーションプラットフォームに囲い込まれていく未来を示しているのかもしれません。そのうち、実のところ Web 上のコンテンツのうち、1割や2割は Google や Amazon 上で展開される、なんてことが起きてしまうのかもしれません。
クラウドコンピューティングや SaaS によってビジネスモデルは変わる?
そんな未来がやってくると、ユーザはサービスがどこにあるかを意識しないままサービスを利用するようになってきます。ユーザはサービスをホスティングしているのが Google だろうと Amazon だろうと関係無く自分の使いたいサービスを使い、サービスを提供する企業は独自のビジネスモデルにそれらのアプリケーションプラットフォームを織り込みながらビジネスを推敲し続けていくかたちになります。それがいわゆる クラウドコンピューティング と言われる形態になりますが、プレイヤーとしては先に挙げた二社の他に、セールスフォース のような企業も 挙げられています。Yahoo! も、「Yahoo Open Strategy」という Google App Engine と同様のサービスを発表しています。
日本の Web はどうなっていくべき?
特に Salesforce が顕著なのですが、ここまで来ると単に Web 上のサービスの範疇を超えて、社内のスケジューラーや会議室予約、ビジネス帳簿の管理などITインフラの領域をも侵しはじめてきます。しかもそれらの有力なベンダーはすべて国際的な展開を提供する海外の企業です。もしこれらのプラットフォームが多くの人に受け入れられていったら、日本でサービスを提供しているベンダーは食い上げになり、ビジネスから退場していくしかなくなってしまうのでしょうか?
きっと私が寡聞にして知らないだけで、日本国内でもこういったアプリケーションプラットフォームのベンダーになろうとがんばっている企業はあるはずですが、共有の認識としてはあまり存在していないように思います。たとえば株式会社はてなが「はてなガジェット」というようなユーザの作成した自由なアプリケーションを共有出来るような展開が想像出来るでしょうか・・・?個人的には、そこまでオープンなポリシーを持ったサービス提供者ではないように思います。
mixi やモバゲーモデルを目指すべき?
日本国内でおおむね成功しているように見える Web のサービスを考えると、mixi やモバゲータウンのようなコミュニティーサービスが見受けられます。mixi 自体海外のSNS流行の追い風を受けて開始された ソーシャル・ネットワーキング・サービス ですが、国内で成功しただけに、その後追いをするサービスは山のようにあります。ただこれらも、ユーザが独自のアプリケーションを作って公開できるようなところまでは行っておらず、日記やコミュニティといった CGM 共有の場を提供しているに過ぎません。
ユーザにもっと自由に、例えば独自のアプリケーションを作らせているプラットフォームとしては、先日日本語対応も開始した Facebook.com も考えられますが、mixi やモバゲータウンがそのような自由な環境を提供するとは、到底予想が出来ません。あったとしても、まだ数年後の未来のような気がしますし、今のブランドではそういった展開はしないのかもしれません(mixi が Facebook を真似たアプリケーションプラットフォームを発表したら、それは大きなニュースになるのは間違いないですけれども)。
であれば、成功した mixi やモバゲータウンのようなモデルを奪い合って、利用者のパイを奪い合うというのがビジネス的には正しいのかもしれませんが、もしクラウドコンピューティングが本格化したら、そういった旧来のやり方だけでビジネスをしてきた事業者が、その波に対抗することは可能なのでしょうか・・・?
ニコニコ動画の後を追いかける企業もなかなかいないはず
もうひとつ、日本独自のサービスモデルとして、ニコニコ動画や2ちゃんねるといった「なんでもあり」を容認したコンテンツがありますが、これらはアプリケーション開発なんて難しいことをユーザに要求したりせず、ユーザが何をやってもいろんな意味で大丈夫なようなだだっぴろい箱庭を作るモデルになっています。サービス提供元として訴訟されようが、ユーザが現実社会で重大な事件を引き起こそうが、なにも動じないというブランディングがされています(実際にそれらのライ麦畑を管理している人は相当の苦労があるかと思いますが)。
こういったコンテンツを真似したいと考える企業は少ないでしょう。もしどこかのベンチャーが第2のニコニコ動画や2ちゃんねるを立ち上げたとして、コンプライアンス的にもビジネスモデル的にも、運営リスク的にも十分な投資を得られるとは考えがたいところです。だからこそ、これらのサービスの「誰も手を出さない場所での一人勝ち」状態が続いているのかもしれません。リスクは大きすぎますが、十分なニッチを獲得しているように、外側からは見えます。
iPhone のモバイルアプリケーションプラットフォームに参加すべき?
奇しくも本日、iPhone 3G が発売されましたが、これも優れたプラットフォームを備えています。単にアプリケーションを提供するサービスなだけではなく、ハードウェアであり、モバイルであり、さらに通信や課金の仕組みすら備えています(参考:ゲームソフト会社から見たiPhoneの魅力--「ここまで整ったプラットフォームは世界初」:インタビュー - CNET Japan)。さらに「iPhone で」というだけで、一定の品質やサービスレベルが保証されるのでは、という実際には根拠のない期待も集めることが出来ます。
先に挙げた mixi やモバゲータウンのモデルがもし iPhone によって崩されていったら、モバイルコンテンツですら世界的な波に飲み込まれて行ってしまうかもしれません。もちろん、日本のガラパゴス環境は強固で、ユーザも学習することなく、これまでのモデルがまだ10年継続していくのかもしれませんが。
この iPhone のプラットフォームで楽しい出し物をしていく企画と制作の力があり、運よく国内での iPhone ユーザも爆発的に拡大したとしたら、幸せな数年間を過ごすことが出来るかもしれません。単に打ち上げ花火に終わったら、そこにつぎ込んだ夢や資金が消えていくわけですが、今チャレンジをされている方々はそのあたりはきっと織り込み済みなのでしょう。
企業として、Web のどこでビジネスをしていくべき?
ここまで挙げてきたように、PCでもウェブでも、Web の次の波が次々と押し寄せてきているのですが、一方でそれらの波が日本の社会を構成している企業や自治体や地方のコミュニティ、そして私たち一般の利用者に届くことはあるのでしょうか?
ここを読み違えてしまうと、次はクラウドコンピューティングだー、なんていって喜び勇んで突入していっても、ユーザはちらほらと見かける程度で、あとは盛り下がってしまった、なんてことになりません。それよりも顧客としての企業やその向こうにいる消費者のニーズに応えたり、エンターテイメントをこまめに提供してあげることの方が、実際のビジネスとしてはまともなのかもしれません。しかし同時に、それは世界の潮流から視線を遠ざけることでもあり、いつか大きな津波が来たときには、諦めるしかない未来がやってくるかもしれません。
方向性を見誤らないのはもちろんのこと、タイミングは早すぎてもいけないし、遅すぎてもいけないはずです。
一個人として、Web への参加者としてどう関わり合うべき?
もしあなたが Web にかかわる業務を行う企業に関わっていたり、あるいは Web が好きな自由な立場のブロガーや開発者だったとして、今後の Web に対してはどうかかわっていくべきでしょうか?ちょっと冗談のような選択肢を並べてみましたので、自分がどれに一番近いか、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか。
1.個人としてアプリケーションプラットフォームの蔓延する未来を当然のものとして受け止め、そのステージの上でいかに表現していくかということを考えていく
2.アプリケーションプラットフォームはそれほど成功しないと考え、次の潮流が現れるまでじっくりと力を蓄える
3.自ら次の潮流を生み出すべく、Web 上で広がる新しいモデルを探したり、作り上げたりすることに注力する
4.難しいことは考えず、自分のつくりたいものをつくって、世の中が自分に追いついてきたらそのとき何をするか考える
5.Web からはすっかり引退して、Web 以前に既存だったビジネスに身を投じるか、Web 以外の新しい分野に転じる
最後はちょっとブラックになってしまいましたが、Web とともにどう円熟を迎えるか、そんなことを考えてみてもいいのかもしれません。
(9/17追記)
下記の記事、ちょっと似たようなことがかいてある気がするのでメモ。
Is Facebook a PaaS contender? | Software as Services | ZDNet.com
PaaS というキーワードでまた考えを深めてみても、面白いかもしれませんね。